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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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【PSO2/RP】 Endless Waltz 1 【MISS X DAY】
 薄く射してくる窓からの光に身動ぎすると、隣から温もりが滑るように離れていく。その途中で大きな手が、髪を滑り、頬を撫でた。
 いつもの声が耳をくすぐる。
 いつものようにシーツをかき寄せ半身を起こすと、カーテンが開け放たれて朝陽が部屋に溢れた。
 密やかな夜の欠片が光の中に溶けて、また夜を待つ。
 こんな、ごく平凡で、ありがちで、当たり前だと思っていた、日常。

 なんて。
 なんて。
 ――――何て、悪夢。



 目を開けると、朝が近付いてこようとする薄闇が見えた。
 不快な汗で濡れた身体が気持ち悪い。ゆっくりと起き上がると、ブランケットが胸から滑り落ちた。
 いつの間にかソファーで眠りに墜ちていたらしい。飲みかけのグラスの氷はすっかり溶け切って、気の抜けた琥珀の色が大きな窓から射し込む光に淀んで見えた。
 軽く頭を振ると、足元に蹲るようにしてブランケットに包まったセリスィが見えた。……あたしを動かすのを諦めて、そのまま、かな。猫のように丸まって穏やかなその寝顔に、ふと苦めの笑みが浮かんだ。
 その時、部屋のドアが開く。足音を殺して入ってきたその子は、あたしの顔を見ると驚いたように足を止めた。
「――ルル姐、起きてたんだ?」
「あら、お帰りね、アスマ」
「ん、ただいまぁ。……朝帰り叱られなくて良いのは助かるなぁ」
「その代わりお仕事よぉ? セリスィ、ベッドに運んであげて頂戴?」
「へーい……ルル姐は?」
 華奢に見える割に、意外と力はあるみたいね……セリスィを抱えると、アスマはベッドへ歩きながら言葉を投げてくる。少し考えて、あたしは立ち上がった。
「シャワー浴びるわぁ、覗いても良いけど後で覚悟してねぇ?」
「何そのフルオープンな罠……」
 苦笑しながら部屋に戻って行くアスマに笑って見せて、あたしはバスルームに向かった。
 痛いほどの勢いのまま、熱いお湯と冷水を繰り返し浴びて、ゆっくりと身体を伸ばす。
 そうする間に、陽が昇ってくる。
 ――一番嫌いな時間が来た。
 世界はこんなに明るくて、憎らしいほど美しく輝いてみせるのに、あたし1人がずっと縛り付けられたままだと、思い知らされる。
 記憶の中の朝も、この朝も、同じなのに。



「――花には色」
 呟いて唇に色を乗せる。キツく見えるのも承知の上で選んだ赤は、無理矢理にでも顔を彩り映える。ドレッサーの上の小瓶の内、淡い赤の蝶が描かれた方を手にとった。
「花には蜜の香り、っと」
 裸の胸元と膝の後ろに軽く香水を振ると、ようやくいつものあたしが出来上がる。ローブを纏い、髪を整え、ピアスを選んで、鏡の中の自分に微笑んでみせた。
「……茶番ねぇ」
 歪めないように微笑んだまま、あたしは部屋を後にした。

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2013.03.22(Fri) | 『名も知らず、咲き誇る花』 | cm(0) |

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