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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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【PSO2/RP】出遭いの街【『誇る花と定まらぬ意思』1】
人の気配のない市街地に、破壊の音だけが響き渡る。
禍々しさを黒い体に纏わせたダーカーの群れが、崩れかけた建物から溢れるように出てくる。群れはしばしそこに止まり、また新たな場所へと進もうとした時だった。
煌めく光の破片が、アスファルトに音もなく突き立った。
「届い、て!」
細い少女の声が響くと同時、破片は突如炎と変じて弾け飛んだ。


次々と飛来する破片が新たな炎を生み、渦と変じていく。その渦が消える頃、その場からダーカーの群れは煙のように消えていた。
「いなくな、った、かな……?」
宙を滑るように移動した少女は、場違いにすら思えるヒールを鳴らして着地する。肌も露わな淡い藤色の衣装に身を包んだ少女は、手にしたタリスを背に収めると周囲を見回してから、ようやく息をついた。
そして端末を開いた少女は、たどたどしく操作しながら周辺の様子を探り始める。しかし、その途中でふと顔を上げた。周囲を不安げに見渡した少女は、恐る恐る半ば崩れ落ちているビルへと近付く。そして、目を閉じて中の物音へ耳を澄ました。
「…………?」
軽く首を傾げた少女は、ビルの中へそっと足を踏み入れた。タリスの代わりにロッドを手にした少女は、自分の息を殺すようにして、暗がりに眼を慣らしながら進んでゆく。時折、積みあがった瓦礫をロッドの柄で崩しながら、足元を確かめていたその歩みが止まる。
「――――っ!」
その手からロッドが投げ出され、硬い金属音ががらんとした空間に響いた。少女は瓦礫の一角を必死に素手で掘り返してゆく。ややあって、暗がりでも判る淡い金髪がその中から現れた。
「しっか、り……今、助け、る、よ……!」
少女の手に新たに力がこもる。白い額に汗が滲み出し、噛みしめた唇に朱の色が差し始めるようになって、やっと瓦礫の中に隠れていた姿が顕わになった。
「女の、人……」
伏せるように倒れている女性の手首に指を当て、少女はほっと息をつく。そして、ぎこちない手つきながらも手早く怪我の有無を確かめると、少女は小さく呟いた。
「良かっ、た……怪我、なかった、みたい……」
少女は投げ出したロッドを自分の方に引き寄せ、女性の頭を自分の膝に乗せる。その動きに小さく呻いた女性は、うっすらと眸を開いた。
「ん……な、に……」
「だいじょ、ぶ? 私、アークス、だよ。助け、る、から……動け、る?」
「アーク、ス……あぁ、そういえば警報……っ、痛ぅ……」
身じろぎして小さな悲鳴をこぼす女性に、少女の肩が跳ねる。慌てたように起き上がろうとする動きを止めると、少女は言った。
「レスタ、応急処置、に、なるのか判らない、けど……じっとしてて、ね?」
言うなり、少女の掌に柔らかな光が満ちる。ふわ、と放たれた光は、微かな螺旋を描いて女性の周りに広がった。身体に降り注ぐ光を眺めていた女性は、軽く肩を回して呟く。
「……話には聞いてたけど……へぇ、すごいのね」
「痛く、ない?」
「ん、大丈夫みたいね――この辺、被害ってどんな感じなの?」
女性はゆっくりと立ちあがり、少女を促す。しかし、困ったように口ごもる姿を見て、女性は小さくため息をついた。
「芳しくないのは判ったわ、ありがと。で……ここから逃げれるの?」
「――守る、よ」
少女は呟くように言うと、再びタリスを手に取った。


人気のない市街地に、2人分の足音が響く。あちこち燻り、残骸と化した建物の間を縫い、2人分の息が弾む。
「結構タフね、お嬢ちゃん……!」
「いつも、こうだ、もん……!」
「見た目によらないわ、……うわっ、出た!」
「おねーさん、隠れて、て!」
少女は女性の逃げ込んだ建物を背にタリスを抜く。小さく弾んだ息を大きく吐き、近付いてこようとするダーカーの群れをきり、と睨みつけた。
「……私、が、やらな、きゃ」
微かに震える指で少女はタリスから羽のような形をした光を引き抜く。それをダーカーの群れに向かって投げつけると、小さく少女は叫んだ。
「届い、て!」
光の破片から、突然十字の光が刃になって回転する。それはざわめいていた群れの動きを分断し、数体を消滅させた。少女は唇を噛みしめ、さらに光の破片を投げては十字の刃を湧き出させる。
しかし、少女の抵抗は長くは続かない。勢いを増した群れがこちらへ押し寄せようとする動きを察し、少女はちらりと背にした建物を見る。そして、小さく頷くとロッドを引き抜いた。
「……隠れてて、ね?」
小さく少女は言うと、入り口の方へ笑みを向ける。そして、ぎゅっと唇を噛むと、ロッドを手に群れの中心へと走り出した。
「ちょ……お嬢ちゃん!?」
入り口から女性が飛び出そうとする。そして目にしたのは、少女が黒い群れを相手に不慣れであろう接近戦を挑む姿だった。
大ぶりのロッドを振るうには細い腕が、立ち回りに慣れていない足が、かすり傷に覆われていく。女性は言葉を失い、少女が傷つきながらも炎を生み、光の刃を放つ姿を見つめ続ける。
群れの数は減り、少女はそれを認識して少し安堵しかけた、その時だった。赤い光線のようなものが、少女の腕を薙ぐように掠めた。
「きゃ、」
「お嬢ちゃん!」
「ダメ、来ちゃ……だ、め!」
少女の悲鳴に似た声が響く。女性が躊躇ったのを見、少女は再び笑む。
「……だいじょ、ぶ」
掌の一振りでレスタを発動させ、少女はロッドを構えて走り出そうとする。しかしその時、少女の傍らをすり抜けるように駆け抜けた人影があった。
「え、……?」
「荒事は得意じゃないんだけど、ね……!」
駆け抜ける女性の手には、一振りのガンスラッシュがあった。巻き散らかされる光線をかわし、女性は少女に声を投げる。
「これ、弱点何処!?」
「背中、の、方の……赤い、ところ!」
「オーケィ……やってみましょうか、ね!」
少女の目の前で、女性は助走の勢いをそのままにアスファルトを蹴る。手にしたガンスラッシュに、光が宿ったのはその瞬間だった。
「……フォト、ン……!?」
「こんな感じ、なのかしらね……!」
光を纏ったガンスラッシュの刃が、空を切り裂いた。


「あ……おねーさん」
「あら、待っててくれたの?」
メディカルセンターの前で、少女は出てきた女性を見てほっとした顔をする。小さく頷いた少女は、恐る恐る女性に言う。
「何処、も、……異常、ない、って?」
「えぇ、大丈夫。汚染も侵食もなし、むしろフォトン適応反応出たから勧誘されたわよ?」
「良かっ、た……やっぱ、り、フォトンの適応、あったんだ、ね」
2人は連れ立って歩き出す。ショップエリアまで足を延ばすと、少女が買ってきた飲み物を手に、2人は噴水前のベンチに落ち着いた。
「おねーさん、これからどうする、の……?」
「んー……もう帰れないみたいだし、あのエリア……居住権とかいろいろ保障されるみたいだから、この際勧誘受けてみてもいいのかもね」
「う、ん……びっくりした、よぅ」
「あれ、あんな風にブレード出るのね……てっきり普通の銃だと思って、殴るつもりだったんだけど……」
「おねーさん、って……」
「あ」
ふと女性が口にしかけたカップを止め、少女を見る。少女はその視線の前で首を傾げた。
「そういえば、貴女、名前は?」
「あ……私、セリスィ、です。おねーさんは……?」
「今更名乗るのも何か変な感じだけどね……ルルーディアよ」
「ルルーディア、さん……よろしく、ね?」
「ん、じゃあ、よろしくついでにお願いがあるんだけど、セリスィちゃん?」
「え?」
女性・ルルーディアは、少女・セリスィの肩にぽん、としなやかな手を置く。そして、にっこりと微笑むと、口を開いた。
「貴女の部屋に住まわせて貰っても、いいかしら?」



【to be continued...】
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2012.09.13(Thu) | 『誇る花と定まらぬ意思』 | cm(0) |

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