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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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ストーリーテラーに100の台詞…No.5「黙って聞け」
「っだぁぁぁぁ! まだるっこいウザったい面倒くせぇぇぇぇぇ!」
盛大にペンを放り出した相方を何度目かの溜息と共に眺め。俺はズレた眼鏡を指で押し戻した。
親の仇でもこうはならないだろうってぐらいの勢いで目の前の紙切れに噛み付きそうな顔をしている相方の前に、新たな紙を追加する。すると面白いように、相方の割合端整な部類であろう顔が歪んでいく。??うん、毎回良いリアクションだなぁ。
「何っで書類仕事があるんだよ、オレは仮にも勇者様だぞ!」
「うん、派遣だけどね」
「うぐっ」
「じゃ、今の書類はそこにサイン2個ね。その下3枚はサインとハンコ、忘れないように。この間それ忘れて、1週間待機させられたからね? で、今回の必須提出物の飛龍の鱗は?」
「さっきそこに投げ」
「たら駄目ってあれほど言っただろう!?」



思わず椅子を蹴り倒す勢いで立ち上がってしまった。慌てる俺を見て、相方は大きく溜息をついて頭の後ろで手を組む。そして、実に面倒そうに呟いた。
「うっせーな、飛んで消えるわけじゃあるまいし、いーじゃねーかよっ!」
「あれ、飛ぶんだけど」
「……は?」
「飛ぶ。俺、さっき言った」
相方の顔が、石のように硬くなる。そして、俺を見つめて恐る恐る呟いた。
「……もし見つからなかったら?」
「もう1回タダでやり直し」
「冗っ談じゃねーーーーー!」
「それは俺の台詞だよっ!」
??大の男が2人、血相変えて紙の束をひっくり返しながら、酒場のテーブルで大騒ぎしている姿は実に見苦しいけど、勘弁して欲しい。タダ働きとかホント割に合わないぞ、今回のは……。
テーブルの下に2人して頭をつっこんで探していると、そこにくすくすと可愛らしい笑い声が降ってきた。??あれ?
「お探し物、これじゃないです?」
2人揃って声に顔を上げると、白くて細い指先に、ふんわりとした虹色の塊があった。飛龍の鱗だと確認しながら、そのまま指先から上へと視線を辿っていくと……うわ、でけぇ。
「うわ、すっげ……」
??相方も同じとこ見てやがった。同じリアクションをするわけにいかない、から……俺は立ち上がると、軽く頭を下げて言った。
「ありがとうございます、お嬢さん。拾っていただいたんですね、感謝します」
「うふふ、困った時はお互い様なのですよ???はい、どうぞなのです。今度は落とさないようにしなきゃですよ?」
「拾ってくれた礼だ、嬢ちゃん。そこ座んな。1杯ぐらい奢ってやるよ」
俺が鱗を受け取る間に、相方は勝手に言って女の子に椅子を勧めてしまった。ちゃっかり積んであった書類を俺の前に押しやってくる辺り、どうなんだよ、これ……。相方に白い目を向けようとすると、その相方は思いがけず鋭い眼をしていた。??あれ、この目、は。
「……まさか、おい、」
「黙って聞け」
相方はそう言って、俺を目で黙らせた。


世の中、何でも商売になるらしい。
巷に溢れる有象無象を退治するために、最初は退治屋なんてモノが流行り始めた。盗賊からモンスターから何でもござれ、だったその連中が、腕を上げて名を上げていくうちに出来てきたもの、それが『勇者業』だ。まぁ、勇者って言ったところでどう頑張っても“自称”であることには変わりがないんだけれども。でも、実戦を積んできたその“自称勇者”の腕が、馬鹿に出来ないくらいになってることに目をつけた連中がいたんだ。そして、連中は寄せられる様々なケースに対応し、適材適所を見極めて派遣する今のシステムを作り上げた。
相方、フェンネル・リーヴと俺の専門は、主に荒事……実地実戦。見栄えのする奴らだと、パレードとか祭りの賑やかしに雇われているって話も聞くけれども。
「……フェン、」
「酒飲めんのか? 付き合えよ、嬢ちゃん。??お前は書類片付けてろ、ディル」
「……あとはお前のサインだけなんだよ」
「フェンさん……と、ディルさん、です?」
ちょこんと座った女の子??猫目童顔、の割に少しルーズなローブの胸元が凄いことになりかけてる??が首を傾げた。相方は顎で俺を示すと、女の子に答える。
「オレはフェンネル・リーヴ。こっちが相方のディル・ベトニー」
「あの、……勇者さんなのです?」
「オレはな」
「ディルさんは、薬士さん……なのですよね?」
「いや、俺は事務屋だよ」
「……みゅ?」
……うっわ、猫っぽい……。首を再度傾げた女の子は、俺の着る地味なローブを見つめていた。
確かに俺が着ているローブは、一般的には薬士が着ている。女の子はどうも、典型的な勇者スタイル??銀色の上半身だけのプレートアーマーにバカでっかい剣、マント姿??の相方と、俺の姿をみて声をかけてきたような、気が……ん?
ふと見ると、相方は俺を見て、軽く頷く。そして、運ばれてきたグラスを女の子に差し出しながら、にっと笑った相方はこう、言った。
「嬢ちゃん、何かトラブル抱えてんだろ? 話してみろよ、格安で相談に乗るぜ?」


俺が大したスキルもないのに??正直、薬屋の息子じゃあるけど、薬草の知識が人よりちょっとあるくらいと、ソロバン勘定の方が得意なくらいだ??相方の勇者稼業にくっついて回っているのは何故か、とよく聞かれる。その時は適当に、幼馴染だからだの何だのということにしているものの、実際のところは、相方の恐ろしいまでのトラブル感知能力があるから、だったりする。回避じゃなく、嗅ぎ付けるのが異様に上手いんだ、コイツ……。
実に楽しそうに、嬉しそうに、相方はトラブルの渦中にバカでっかい剣を背負って飛び込んでいく。……それをサポートするのが俺の仕事であり、楽しみでもあるわけだけれど、なかなかこれは理解してもらいにくい感情だろう。
女の子は猫のような瞳を大きく見開いていたけれど、相方と俺の顔を見ると、ゆっくりと大きく息をついた。
「……どうして、判るのです?」
「さっきお互い様って言ってたろ? それにあんた??すっげぇ無防備な格好だけど、魔術士だな? 引く手数多なはずだろ、それがこんな場末に1人でふらついてるなんざあり得ねぇ」
相方はすっぱりと言って、自分のグラスを空ける。女の子はきゅ、と唇を噛むと、俯いてしまう。そのまま暫くの時間が過ぎ、女の子は小さく頷くと立ち上がる。そして、戸口の方へ歩いていって、1人の長身の女性を連れて戻ってきた。
「……私は、ケラスィア・アスイーミというのです。こちらは、ミシュラ……ミシェルさん、なのです。派遣協会にお話を伺いに行ったら、お二人を紹介されたのですけれど、その……」
「あぁ、協会からだったのか」
「はい、……ごめんなさいなのです。お二人がどんな方なのか、ちょっと知りたくて、こんな……」
「いーや、間違っちゃないだろ。な、ディル」
「派遣だもんねぇ。ピンキリだって噂は本当だと思うしね、俺も。??えっと、そっちのお嬢さんも座ったらどうかな?」
「……ありがとうございます」
何故かすごく複雑そうな笑顔を浮かべて、長身の女性は俺の勧めた椅子に座る。相方は全員に飲み物を注文すると、女の子に改めて言った。
「オレとディルの専門は荒事一般、ってとこなんだけどな。……で? 俺らに何が出来るんだ?」
「……お願いしたいのは、ドラゴン退治、なのです」
女の子を気遣うように、女性がその背中に手を置く。小さく頷く女の子の顔は、少し青褪めていた。対して、相方と俺は??笑っていた。
「おいおいおい、ディル、来たぜ来た来た来たっ! 勇者稼業なら一度はやりたいドラゴン退治だとよ!」
「来ちゃったねぇ……ホント、フェンの勘は半端ないよなぁ」
「あ、あのぉ……断らないのです?」
「断る理由、ねーし?」
相方がにぃっと笑う。女の子が唖然として、女性を見上げる。女性は苦笑すると、綺麗に響く低めの声で言った。
「それでは、詳細は僕からお話しましょう。……いいかな?」
「はい……」
「おう、聞こうじ」
「待った」
女性の前に手を出して、俺は話を遮る。かっとなった相方が俺に食って掛かった。
「んだよディル!」
「これ、サインね。あとハンコ。忘れちゃ駄目だよ、話聞きたいならさっさと終わらせようね?」
「空気読めよお前ええええええええ!」
盛大に頭をかきむしる相方に、女の子が堪えきれずに吹き出した。??ん、まぁ、結構いい感じにいけるかもしれないな、この仕事。

【to be continued...】



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2009.08.17(Mon) | ストーリーテラーに100の台詞 | cm(0) |

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