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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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ファンタジースキーさんに100のお題…007.森の木霊
 深い霧の中に足を踏み入れた。静まり返る森の奥で、動くことで空気が流れていくのを自覚する。手を伸ばす先ですら白く霞むほどの霧の中で、小さく息をついた。
「……何処に居るの?」
声は思ったよりも大きく響いた。


 大きな樹の根本に座り、頭から被っていたマントをようやく下ろした。ばさばさと、伸ばしたままの髪が溢れて流れる。変わることのない亜麻色の髪に触れた、最後の指を思い出す。……冷たいものが頬を伝っているのに気付いたのは、膝が冷たく濡れる感触に意識が向いたからだった。
「……はは、これでもう、独りね……」
 力なく呟く声は、霧に飲み込まれる。
 ??とうとう、独りになってしまった。今までの仲間を全て喪い、残されてしまった。
 自分の選択に間違いはなかったか、未だに自問自答は続く。けれど、今を選び取る為に躊躇はしなかったつもりだ。そして、後悔もしていない。それだけは、顔を上げて言える、けれど。
「…………」
 きりきりと、胸を裂いていくこの痛みを、何と呼べばいいんだろう。
 じわじわと、力を奪っていくこの辛さを、何と呼べばいいんだろう。
 霧に包まれて、静寂に浸されて、森の一部になれるのならば、それもいいかもしれないと。ふと、そんなことさえ思ってしまう。……出来ないことを思い知っているのに。
「……後悔はしない」
 声を上げる。
 かすれそうに、震えそうになる声を無理矢理大きく振り絞って、言う。
「……今を選んだことに、後悔はない」
 そう、これは本心。偽ることのない気持ち、だけれど。声は震えそうになる。白い闇のような霧を見上げる頬に、まだ冷たく流れるものがある。
「……ああああああああああああああああああ!」
 不意に口をついた声は、霧を切り裂いて森に木霊する。肩で息をするほどに張り上げた声は、暫くその響きを森に残す。
 ??ようやく、熱いものが頬を伝った。

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2009.02.21(Sat) | ファンタジースキーさんに100のお題 | cm(0) |

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