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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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【PSU/RP-Replay】翼を捜して:take1.3「embattled」【Miladia/『その、記憶』】
回された腕は、変わらずにあたたかかった。
耳元で零れた想いを告げる言葉は、いつものままだった。
??涙が溢れる。
「どうして……どうしてこんな時まであたしのことなの……!」
傷はまた、開いてしまいそうだ。震える手を伸ばしかけたその時、耳元にまた、言葉が零れた。
「……ごめん」
聞き返す間は、なかった。苦しそうな息の下、その拳が鳩尾に叩き込まれた。
名前を呼びたいのに、声が出ない。霞んで消えそうな視界に、剣を支えに歩いていく姿が灼きついた。
そして意識を手離す寸前に、囁くような声が言った、気がした。
「……ディア」


***


「……飛鳥の負っている傷は、刀傷なの。……具体的に言うなら、散華」
そう、口にした瞬間に、空気が冷えた気になる。アルフ君の厳しい目が、射抜くように見ているのが判った。少し遠巻きにしたところにいるザック君は、恐る恐る口を挟む。
「あ、えっと冷静に、冷静に聞いてくださいね」
「刀……そうありふれた武器では、ないな?」
「それは、尋常じゃありませんね……」
事情を知らないカイン君とルンタ君は、眉をひそめている。はらはらしたようにザック君がこちらを伺うのが、判った。
「……信じるか信じないかは、任せるけれど、あたしの中に、もう1人、別のモノがいるの」
「それは……」
ルンタ君が一瞬、息を飲む。そして次の瞬間、深々と頭を下げた。
「お、おめでとうございます」
「……は?」
「よ、予定日は?」
「……ルンタ君??る・ん・た・く・ん!」
「じゃ、なく!???あぁ! すみません! ど、どうぞ先へ……」
「違うのか……」
カイン君までもが、何を勘違いしたのかとんでもないことを呟く。カイン君にちらりと目をやると、慌てたように首を勢いよく横に振った。
「いや、スマンななななんでもない」
「……顔に出てるわよ……」
溜息混じりに呟くと、カイン君は慌てて目を逸らす。変な具合に、張り詰めていたものが切れてしまった。もう1度息をつくと、改めて口を開く。
「……それが、飛鳥を……斬らせた。二重人格みたいなものだと捉えてもらって構わないと思うわ。……斬ったのは、あたし……だから」
??どんなに事実であっても、脳裏をよぎる真紅の光景をまともに受け入れられない。カイン君は腕組みし、確認するように言葉を選ぶ。
「……意外だな。戦闘中の誤撃か?」
「……違う、わ。どういったところで言い訳でしょうけれど……身体を操られた、としか言いようがないの」
「信じがたい話だが……嘘をついているようにも見えないね」
「まぁ、故意に斬ったんでしょう」
ジョージ君とザック君の言葉が、刺さる。カイン君の目が探るように、こちらを見ているのが判る。ルンタ君は暫く考え込んでいたけれど、不意に顔を上げて言った。
「似たような状況は、聞いたことがあります。また、ごく最近でも……本人の意図とは関係なく行動してしまう状況……カクワネ憑き、の症例が確認されています」
「……勘弁してくれよ、カエルの大将」
アルフ君が頭を抱えて呻いた。陽炎ちゃんはきょとんとしていたものの、首を傾げて呟く。
「えーと……つまり、カクワネに憑かれてたなんていいませんよね……」
「いや、お聞きするとこう、何らかが憑いている、と表現するのが一番、妥当ではないでしょうか?」
ルンタ君がそう言ってその場の全員を見渡す。??皆の作る円の中に立っているせいで、視線が痛い。ジョージ君が呆れたように言う。
「御祓いでもするのかい……?」
「まぁそれがカクワネだって言うのは、地方の迷信でしょう」
「まぁ、カクワネではないでしょう。何故なら……」
科学者が3人、頭を突き合わせて話し合っている、ものの……よりによってカクワネか、と。思わずつっこみたくなるのを堪えながら、ルンタ君が妙な自信に満ちた声で言い放つのを聞く。
「カクワネは、刃物をつかいません!」
「はぁ、まぁ、使ってたら怖いですけど」
「そ、そうなんですか……」
ザック君と陽炎ちゃんが相槌を打つ。カイン君は暫く考え込んでいたけれど、カクワネの影を振り払うように首を振ると言った。
「そういえば彼。サンゲヤシャ、もっていなかったか?」
「………あったよな、サンゲヤシャ。その散華は、まさかとは思うが……」
「奪い取って、切った?」
アルフ君と顔を見合わせたカイン君が、恐る恐る尋ねる。
「……違うわ。あたしが持っている散華よ。確認しなきゃとは思うけど……多分、間違いないわ」
??場に、静寂が満ちる。その沈黙が、静かに罪を責める。ルンタ君は暫く考え込んでいたけれど、深く息をついてから口を開いた。
「信用するしないは別として……状況をまとめますと……ディアさんの体を誰かが乗っ取り。ディアさんの散華を使って。飛鳥さんを、切った。飛鳥さんは、行方不明。……と、いうことですか」
「……えぇ」
……何といえば信じてもらえるだろう、と。あまりな状況に呆然となりながら思う。
何かが憑いている、というルンタ君の読みは、きっとそう間違っていない。けれど、根本的に違うのは、それを自身で招いて今にまで至っている点だ。これを俄かに信じてもらうには、証拠も、覚悟も足りない。思うように操れるのならまだしも、これほど不安定なものを制御できる自信は、正直ない。
けれど……この状況で、1つ救いがあるとすれば。次にもし、ヤツが暴れようとしても、制止が入るだろうということ、だ。??あまりに不確かな望みに、思わず笑いそうになった。
ふと目を上げると、厳しい目をしたアルフ君と視線が合う。暫くそうして見つめた後、アルフ君は小さく呟いた。
「……にわかには信じられねーが、……あの時泣きついて来たお前だけは信じてやっても良い」
「……いいお兄さんね、アルフ君」
「……他に手掛かりがねーだけだ」
何処か吐き捨てるような口調で、アルフ君は目を逸らした。ジョージ君は腕組みをし、ザック君に話しかける。
「まぁ、ことが済むまで間違いなく身柄は拘束だろう」
「そうですね。まぁ、手がかりがディアさんしかない以上、捜索には付き合ってもらいますが。??女性となると、陽炎さんですか。監視に付くことに、同意してもらえますかね?」
「ディアさんの……ですか?」
「えぇ。その上で捜索を続けましょう。??構いませんね?」
ザック君がこちらに問いかける。……是も否もない。頷くと、周囲の人間の顔が少し、緩んだような気がした。

***


??思考が、惑うことを止めてゆく。
胸の前で、拳を握りしめる。爪の刺さる痛みで、少しずつ意識が覚醒する。
……きっと、庇ってくれたんだろう。これ以上この手で彼を傷つけたなら、苦しむことが見えているから。悲しいほどのその優しさが、今のあたしを救ってくれる。
もう、惑うものか。
もう、揺らぐものか。
??覚悟は、決まった。何が起きようと、この手は離さない。
立ち上がり、彼の部屋を後にする。??捜しに行こう。ただひとり、この身を信じてくれた彼を。

...continue into the field...



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2008.09.14(Sun) | 『その、記憶。』 | cm(1) |

この記事へのコメント
27.
実は通して読んでいて、その結末の横側面的な部分を
関係者各位から聞いちゃいました。
「ああ、なるほど。仕掛けとはそういうことか」と。
事の行末が非常に気なりますが、滅多にU05にいないので
どうしても第三者的なスタンスが拭えないのが、残念なばかり。
追っかけて乱入した時に会ったあの人が
あんなことになってしまうとはびっくりでございましたよ。
「み」 | 2008.09.16 01:31 | edit
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