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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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【PSU/RP-Replay】翼を捜して:take1.1「intricate」【Miladia/『その、記憶』】
……知っていたよね?
手の中から滑り落ちていく、止めようのないモノの存在を。
どんなに足掻いても消えてしまうモノを、何度も見送ってきたはずだよね?
そんな単純なことさえ忘れてしまうほど、今が、幸せ、で……。
 

***


……病院にもいない。気配が、追えない……。
引きずるように身体を動かして、いつものたまり場に向かう。コロニーの1F、大きな噴水の側。ひょっとしたら、馴染みの誰かの所にでも転げ込んではいないか、……かき消えそうな期待を、無理矢理に抱えて。
「……こんばんは、ね」
言いながら、ロビーを見渡す。……やっぱり、いない。その思いは、声になってしまったらしい。気付けば、自分の声が呆然と呟いていた。
「……いない」
「何だ、浮かない顔しやがって」
声は思ったよりも大きかったのか、顔馴染みのアルフ君が振り返った。その声を契機に、その場の全員がこちらを向いた。顔を見渡し、やっぱりいないことを確認する。膝の力が、抜けそうになった。

けれど、言葉は勝手に零れ落ちていく。
「……、を、見なかった?」
「あァ? 聞こえねーよ、もっとハッキリ言ってくれねーとよォ」
思考が追いつかない。感情が振り切れて、言葉を探すのに戸惑う。ようやく探せたのは、たった一つの名前だけだった。
「……あす、か……」
「あすかァ? いいや、今日は顔合わせてねーけど……」
戸惑う返事がアルフ君から戻ってくる。呆然ともう一度、周囲を見回す耳に、次々に人の声が飛び込んでくる。
「見てないな……」
「さぁ、見ませんねぇ」
「アスカ君なら見てないが……何やら様子が変だ」
視界が何処か歪んでいる、けれど……声の主を何とか確認する。ジョージ君に、ザック君、ルンタ君……最後の声はカイン君、か。もう1人、前に顔を合わせたことのある女の子がいる……陽炎ちゃん、だった? それだけを確認するだけで精一杯だった。そのまま足は勝手に、ロビーを離れようとする。
「おい、大丈夫か?」
「まァ話を聞こうじゃねーか。ただ居ねえってだけでその面はねーだろォ?」
カイン君の声とアルフ君の声が背中から聞こえる。背中を向けたまま俯いた目に、身体中にこびりついた血の跡を見る。??行かなくちゃ。
「はや、く……探さないと……怪我……怪我して、るの……」
「怪我? そんで行方がわかんねーってェ?」
「患者なんですか?」
「ったく、若けェ事するなァ……」
ザック君の不審がる声と、アルフ君の苦笑交じりの声が背中を打つ。……どう説明すれば、いいんだろう。こんな馬鹿げた茶番劇を……どう言えば、信じてもらえるというんだろう?
「……探さなきゃ」
「だァから待てっつーのッ! その形で黙って行かす訳ねーだろっつー……オラ、俺が一枚噛むから手伝わせろって」
アルフ君が苛立ったように声を荒げる。その時、戸惑ったようなザック君の声が言った。
「あ、あのちょっと、えっと、ミレディアさん? 背中……」
「……え」
「背中……? って、うわっ」
「……あーあァ、こりゃお前が医者行った方が良いんじゃねーの」
……背中に、ぬくもりが戻ってくる。耳元に、かすれた声が囁きかける。
『……ごめん……な』
思考が混濁する。
??どうして、謝ったんだろう。傷つけたのは、この手だったのに。
??どうして、笑ったんだろう。悲しいほどに優しい、愛しい顔で。
「……飛鳥ぁ……っ」
気付けば……声が、嗚咽が、零れた。
その間にも、周囲は話を進めていたらしい。苛立ったようにカイン君が言い放つ声が、耳に届いた。
「何を言ってるんだ。ここにガーディアンズがいる。……それで十分だろう」
「えぇ、本部に聞いても満足な情報が無さそうですし」
その陽炎ちゃんの声に、ようやく顔が前を向いた。
「……あたしもう一度……行ってくるわ」
「ど、どこにですか?」
「……デネス湖……まさか居るとは、思わないけど……でも、もし……!」
居ると、したら。居たと、したら。??一刻も早く、傍に行きたい。無事であることを、確かめたい。鳩尾の辺りが鈍く、痛んだ。
その場の全員が、素早く顔を見合わせるのが気配で判った。ルンタ君が一歩、前に進み出る。
「なんだかよく分かりませんが……ディアさんには、カクワネ原理主義者事件の際おせわになったので。頼まれれば、なんでもしましょう」
「万が一でも賭ける価値は十分あります」
「……わかった、デネス湖だな? 言われなくてもって奴だぜぃ」
「二言は要らん。行くぞ」
そのカイン君の言葉に、全員が動き出す。それにつられるように、足を踏み出す。それを見ていたのか、カイン君は呟くように言った。
「大丈夫だ、きっと見つかる」
「悪運だけは強そうだからよぅ?」
そのカイン君の声を聞きつけたのか、アルフ君が笑う。
 

***


……思考が、錯綜する。
『……ごめん』
意識を失う一瞬前に囁かれた、彼の言葉の意味をまだ、あたしは、理解できていない。
 
 
 

to be continued...take1.2「confess」



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2008.09.09(Tue) | 『その、記憶。』 | cm(0) |

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