PSO2にてまったり活動中。 RPだとかその他いろいろ雑文書きとか。
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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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「……ここだったんだ」
 記憶に任せて足を踏み入れた小屋は、今の“私”が見ればとても小屋とは思えないものだった。
 継ぎ目ひとつない、真っ白な石の壁。不自然なほどに大きく重々しく見えるのに、軋みを上げることもなく開く、漆黒の鉄の扉。壁には窓はなく、唯一見えるのは、屋根裏と思しき所にある天窓がひとつだけ。
 その天窓と、開いた扉から差し込む光が、埃まみれの部屋を浮かび上がらせていた。
「……誰も、来てないんだ」
 呟きながら、目深にかぶっていたマントのフードを背中に落とす。無造作に束ねただけの亜麻色の髪が肩で跳ねる。
 近くにある机に近付くと、埃を透かして彫りこまれた模様が見える。指でそれをなぞると、真っ白な机の上に、幼い文字が並んだ。

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回された腕は、変わらずにあたたかかった。
耳元で零れた想いを告げる言葉は、いつものままだった。
??涙が溢れる。
「どうして……どうしてこんな時まであたしのことなの……!」
傷はまた、開いてしまいそうだ。震える手を伸ばしかけたその時、耳元にまた、言葉が零れた。
「……ごめん」
聞き返す間は、なかった。苦しそうな息の下、その拳が鳩尾に叩き込まれた。
名前を呼びたいのに、声が出ない。霞んで消えそうな視界に、剣を支えに歩いていく姿が灼きついた。
そして意識を手離す寸前に、囁くような声が言った、気がした。
「……ディア」


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久々に握ったその刀の感触は、酷く重かった。
抜き身の刀身は、以前見たときよりも微かに曇っている。
??実剣、散華。
知らず、柄を握る手に力が入った。

   一瞬、意識を奪われたことを知った。
   覚えのない散華が手にあった。
   言いようのない不安に駆られて、せめても距離をとろうとした。
   不思議そうに追ってきた彼が、首を傾げた。
   来ないで、と叫ぶ自分の声が空しく響いた。
   散華が、鈍く光って空を斬った。
   真紅に濡れながら??彼は、大丈夫だ、と……笑った。

***


??思考が混乱する。
何が、大丈夫だったんだろう?
何故、大丈夫だったんだろう?
何のために、大丈夫だったんだろう?
……考えなくては、何かが壊れてしまう、ような。そんな焦りに似た感情が、渦巻いた。


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……知っていたよね?
手の中から滑り落ちていく、止めようのないモノの存在を。
どんなに足掻いても消えてしまうモノを、何度も見送ってきたはずだよね?
そんな単純なことさえ忘れてしまうほど、今が、幸せ、で……。
 

***


……病院にもいない。気配が、追えない……。
引きずるように身体を動かして、いつものたまり場に向かう。コロニーの1F、大きな噴水の側。ひょっとしたら、馴染みの誰かの所にでも転げ込んではいないか、……かき消えそうな期待を、無理矢理に抱えて。
「……こんばんは、ね」
言いながら、ロビーを見渡す。……やっぱり、いない。その思いは、声になってしまったらしい。気付けば、自分の声が呆然と呟いていた。
「……いない」
「何だ、浮かない顔しやがって」
声は思ったよりも大きかったのか、顔馴染みのアルフ君が振り返った。その声を契機に、その場の全員がこちらを向いた。顔を見渡し、やっぱりいないことを確認する。膝の力が、抜けそうになった。

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……気付かれぬよう。息を殺す真似までして、娘の耳を打つ声に注意を払う。娘の眸を通して、様子を窺う。
「……そんな事言われたら、行けなくなるよ」
「……行かないで」
……ようやく。ようやく、娘が絞り出した言葉は、目も当てられぬほどに愚直だった。けれど、その愚かさは、明らかに相手を動揺させたようだった。娘が見つめる相手の??小僧の背は、微かに震えているようでもあった。
ようやく、願うか。
ようやく、己が身を顧みるか。
ようやく、己を赦せるようになったのか。
……ならば、吾の為さねばならぬことは決まったということか。

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「……これじゃない。彼女は人だ。モノなんかじゃない。契約が何だかしらないけれど……俺は、そう思わない」
娘が庇う者がいたことが、まず驚きであったというに。娘越しに吾を見据えようとするその大胆不敵な愚かさに、笑いを禁じえない。興が乗って、名を訊ねた。
??そして。代わりに吾が名を、訊ねられた。幾久しい間、絶えてなかったことをされた。思い出しても、笑いがこみ上げる。
「……タダじゃ、名乗らないぜ? 人の名前を聞く前には、まず」
その者の眸がふと、紅いことに気が付く。娘の眸もまた、同じ色に染まっていたことを思い出し、口にしかけた言葉を押し留めた。??少し、遊ぼうではないか。

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??最近、うちのご主人の挙動が不審すぎるのですよー。
いえ、元々すっごく怪しげな人じゃあるんですけれどもねー、あははは?。何せ自分で『魔女』だとか言っちゃうよーなお人ですよー? 怪しくないわけがないじゃないですかー。
とはいえ、ちゃんと育てていただいた恩はありますし! ちゃんとお世話するのが私の役目なんです! えっへん!

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??夢を視ている。
薄暗い地下室の床いっぱいに描かれた、召喚の呪文。急いで書き殴ったそれは、気持ちの乱れがありのままに現れていた。
間に合わないかもしれない。
……焦る手が、スペルを刻み損ねて震える。
間違っているかもしれない。
……震えが、焦りだけじゃないことに気付いている。
けれど、全てのスペルを刻み終えた時。
心はもう、決まっていた。
「われ請い願うは荒ぶる御霊、古の理統べる力……」
声はもう、震えなかった。
自分の中の残った力が、まるで血が流れ出すかのように、床一面のスペルへと落ちていく。目の前が暗くなりそうになる……そこで初めて、残っていた力のあまりの少なさに気付く。気付いてようやく、身体の内側から寒気を感じた。
床のスペルが、不意に光り始める。私を中心にして、光が渦を描くように広がっていく。ふらつく足を何とか留め、まっすぐに光の行方を見つめる。光は次第に集まり、やがてひとつの形をとり始める。
……さぁ、これからが『本番』だ。

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「……ん?」
いつものように覗き込んだ鏡の前で、思わず凍りついた。右目の上にかかっていた髪をかき上げて、もう1度確認してみる。??けれど、鏡の中から見返す眸の色は、今度は左右ともが変わってしまっていた。
「なーんでまたこんな愉快なことになってるのかしらね、我ながら……」
呟いて頭をかしかしと掻いてみる。……全くもって意味のない行動に、思った以上に動揺していることに気が付いた。
溜息を一つ。そして、鏡に映る眸をまじまじと見つめ返す。自分の奥底深く、眠っているはずのモノへと問いかける。
??まだ、自分たり得るや否や?
返るはずがないと思っていたその答えは、凶暴ささえ感じるほどの速度で鏡の前の『あたし』の意識を掻っ攫っていった。

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「……嘘やだ、何で……」
右目だけに感じ続けていた違和感の正体に、ようやく気付いた。
鏡の前で、強張った自分の顔に苦笑する。かしかし、と頭を掻いて、もう1度鏡を覗き込む。部屋の窓から射し込むモトゥブの強い光の下で、右目が明らかに色を変えていた。


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