PSO2にてまったり活動中。 RPだとかその他いろいろ雑文書きとか。
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白銀 桜

Author:白銀 桜
万華鏡、うつくしいかたちをみるもの。
映るものを、言葉に変えて。

日常、PSO2/PSUでのRP、創作など。

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 年に1度、とはいえ……これだけの量のチョコレートを相手にすることもないんじゃないかしら。
「おねーちゃん、チョコ固まりそー!」
「慌てなくていいわよぉ、湯せんかけてるからそう簡単に……って溢れるわよそれ」
「わー!?」
 ……施設の女の子たち相手にバレンタインお菓子教室を開いて、もう3年ほどが経つ。定番のチョコカップに、シリアルチョコに、ブラウニー。小さい子達でも作った達成感は凄いものらしい。顔のあちこちにチョコレートを跳ね返しながら奮闘する女の子たちを、戸口の辺りで立ち入り禁止を命じられた男の子たちが一生懸命覗き込んでいる。
「おねーちゃん、できたー!」
「ん、上手に出来たわね。ちゃんと固まるまではそっとしておかなきゃよぉ?」
「焼けたよー、おねーちゃーん!」
「はいはぁい、ほら、熱いから離れてねぇ?」
 オーブンを開けると、熱気と共にチョコレートの香りが広がっていく。女の子だけじゃなく、男の子たちからも歓声が上がるのが可愛らしくて笑ってしまった。
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「……また」
 腕に浮かんだ、何かの回路のようにも見えるフォトンを指でなぞった。いつもなら隠せているはずのそれは、いつになく煌めきを増している。目を細めながら、腕のフォトン痕を見つめる。いつものように集束をイメージしても、弾けるようにその集中が解かれてしまう。今までにはなかったことに、躊躇いと不安が落ちた。
 止まりかける手を動かして、支度を続ける。けれど選ぶ服は、いつもより腕の隠せるものに自然となっていく。それに気付いて、鏡の中の顔が苦笑した。
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「おかえりなさーい!!」
 ドアを開けたら、波のように声が溢れだしてきた。子ども達の、満面の笑みが視界いっぱいに広がる。……気が付けば、笑顔になっていたらしい。迎えてくれた子ども達の顔が、更に明るくなった。
「おねーちゃん、荷物持つ! 持つよ!」
「おねーちゃん遊ぼー! 早くー!」
「あのねあのね、おねーちゃん、えっとねっ」
「ちょ、……ちょっと待って、荷物置かせ、あ、ちょっと、待っ……引っ張らないの、危ないから、ね?」
 数人の子に引っ張られ、背中に抱きつかれ、手にしていた買い出しの荷物を落としそうになる。あ、卵割れる……子ども達の勢いを止める間もなくて、少し諦めかけたその時、バランスを崩しかけた身体が浮いた。
「ほーら、お前ら! せめて荷物置いてからにしろー?」
 軽々とこちらを支える腕を見上げると、笑っている優しい赤い目と合った。
 
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 静かな昼下がり。外で遊んでいるはずの子ども達の声が、ぴたりと止んだ。嫌な予感に速足で外に出ると、声をかける前に子ども達がこちらへ逃げてくるところだった。たくさんの泣き顔に、その子達を庇っていたらしい大きな子の頬には、赤い跡が残っている。震えているその子の頭をそっと撫でると、部屋に戻るように促した。
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 そのメールは、唐突だった。
 聞き覚えのない着信音に端末を開くと、目に飛び込んだのは『反応消失』の文字だった。
「……は?」
「……どうした?」
 案じてくれた声が遠い。……何度も、何度見ても、この手の文字に慣れることはないのだろう。手が無意識に、トランザーの中を探し出したのに、まだ気付かないでいた。
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 1日1回だけ。――折れそうな心を手離さないために決めた、くだらない習慣。
 お店が暇になる、午後3時。コーヒーか紅茶を2人分淹れて、端末を手に取る。香りを胸いっぱいに吸い込んで、カップをゆっくり傾けて。今は亡き人たちを偲びながら、今帰らない1人を思いながら、同じ文字を辿って綴る。
 辿る指が小さく震えるのを、深呼吸でそっと宥めながら。
 祈るように、そっと送信を押した。
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 広報部が持ってきたとかいう企画……アークス学園だったか、本当はもっとよく判んないようないかがわしい名前だった気もするけれど。それに乗っかって、久しぶりに制服なんか着させられて。ついでに貰った資料を酒の肴にしようか、なんて。何となく端末を弄りだしたのが、あたしの運の尽きだったんだろう。
 年表を辿る目が、10年前の日付に釘付けになる。
 『10年前の死闘』なんて、それらしい名前で飾られたその日。
 ――あの日から、あたしは失い続けているのかも、しれない。


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 ――簡易検査と精査を数回。それだけであたしはアークスとして登録された。
 2年前、おぼつかない足で歩き回ったシップが、今度はあたしの居場所になるなんて……割と悪夢も、安っぽくなってきたのかしら。
 今思い出しても、軋むような、穿ち抜くような痛みが忘れられない。
 ねぐらだと聞かされていた部屋には、生活を思わせるものは何一つ残っていなかった。
 部屋の中にぽつんと残されていたのは、ボールドのリボンを左の柄に結んだ朧だけだった。
 同室だったという男性からそれを受け取り、どうやって市街地まで戻ったのかは、覚えていない。ただ1つのことだけが、頭から離れなかった。
 2年近く、時間も生活もお互いも共有したのに、――本名すら、知らなかった。
 何処の誰だか判らない男と、何処の誰だか判らない女。
 何となく一緒にいて。
 何となく身体を重ねて。
 何となく、このままずっと居られると思っていた。
 ――勝手な、思い込みだった。
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 ――あぁ、まただ。
 薄暗い部屋に入るなり聞こえた、小さな泣き声のような呻きに、オレは何度目か判らないまま足を止める。
 最初はセリスィだけだった。
 魘されて飛び起きたセリスィが、オレに気付かないままシャワーに向かいながら服を脱ぎ捨て始めようとした時点で部屋を脱出したから、詳しくは聞けてないけれど――多分、訳アリなんだろう、この子も。
 だんだんタイミングに慣れてきて、寝ぼけたセリスィは部屋の外に出るようなことがなければ大丈夫なことが判ったものの……問題は、もう1人の同居人の方だった。
 いつも笑みを含んでいるような顔で、大人の女を気取る感じの姐さん。料理も上手で、面倒だと言う先からセリスィとオレの体調管理をさり気なく出来てしまう辺り、相当器用な人なんだろう。
 余裕なんだと思ってた。これが、大人の女、ってもんなんだろうって。
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 薄く射してくる窓からの光に身動ぎすると、隣から温もりが滑るように離れていく。その途中で大きな手が、髪を滑り、頬を撫でた。
 いつもの声が耳をくすぐる。
 いつものようにシーツをかき寄せ半身を起こすと、カーテンが開け放たれて朝陽が部屋に溢れた。
 密やかな夜の欠片が光の中に溶けて、また夜を待つ。
 こんな、ごく平凡で、ありがちで、当たり前だと思っていた、日常。

 なんて。
 なんて。
 ――――何て、悪夢。
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